この度の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、福祉施設におきましても対応を迫られました。
どの業種業態でも同じですが、中でも福祉施設において感染拡大が拡がることだけは避けなければならないとの思いから、なかなか100%安心してという運営が出来るのはまだまだ先になることでしょう。
さて、当法人では障害福祉サービスをご利用いただいている方のうちの半数以上は精神障害や疾患を持たれている方です。普段の生活の中でも体調や精神面が安定せず、施設の利用も休みがちになってしまう方が少なくありません。
そんな中襲ってきた新型コロナウイルスの感染拡大、正直言って不安な気持ちが強かったです。こういったニュースにおいては驚くほどの量とスピードでネガティブな情報が溢れかえります。その影響を知らず知らずのうちに受けている人はたくさんいて、特に緊急事態宣言の前後の期間においては多くの怒り・憤りといった感情を持つ方が少なくありませんでした。
こういったニュースや情勢は当然、精神障害や精神疾患をお持ちの方にとっても良いものではありません。さらに、外出に関しても制限され、これまで当たり前だったことすべてが覆る、かなりの数の方が体調を崩してしまうだろうなと想定していました。
さらに当然ですが同時並行的に、施設の運営においても感染拡大防止について対策をしていかなければいけない状況の中、県や国からの指針が発表される前に単独で在宅勤務をスタートし、環境がある方はzoomでのテレワークをスタートさせました。
経験したことのないことに対する不安があり、最初は抵抗感もあったのですが試しにやってみてダメならやめていい、とzoomも半ば強制的につないでみたのですが、ここで思わぬ効果が発揮されたのです。
これまでは、なかなかコミュニケーションが取れなかった利用者さん同士が画面の中では目新しさからか非常に楽しそうに会話をしてくれたのです。
出勤制限をかけ、当面はかなり人数を絞ったカタチで運営していたので交代勤務のような状態だったのですが、出勤日が重なった時も、これまで輪にうまく入れなかったのがウソのように楽しそうに過ごすようになりました。
さらに、心配していたコロナの影響による精神的な不調も全く起きず、それどころかこれを機会にみんなで話すのが楽しみになったり意欲が増し、むしろ体調がよくなった方がたくさん出ました。精神障害や精神疾患をお持ちの方の在宅も含めた出勤率が20%以上向上したのです。
あとは、知的障害をお持ちの方にとってもzoomの出勤は新鮮で“画面の中の人”と話せたり自分が画面の中の人なれたりするのがすごく楽しいようで、施設の雰囲気も全体的に明るくなりました。
具体的にどういう効果があってこうなったのか、学術的な見解などはわかりませんが、少なくとも今回の新型コロナウイルスがなければ生まれなかった効果、できなかった発見だと思います。
もちろん、世界的な感染拡大など起きてほしくなかったことですし、ワクチンの開発等早く事態が収束に近づけばいいなとは思っています。しかしこんな状況の中でしかできない発見も確かにあって、すべてがマイナスではなかったのかもなあ、と今では感じています。
まだまだ都内を中心に感染拡大については予断を許さない状況ですので油断はできませんが、今だからこそ出来ることが、どんな状況の中においてもあるんだなということを今回学びました。
実は、変えられないと勝手に思っているだけで本当は簡単に変えられることって、まだまだたくさんあるのでしょうね。
今日も頑張っていきましょ!
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