施設を利用してくれている障害をお持ちの方と一緒に仕事をしていると、どうしても伝えなければいけないことが出てきます。それは当然、称賛や尊敬の言葉のこともあれば、指摘や注意、指導、時には強い表現をする必要があるときもあります。
称賛や尊敬など、プラスのメッセージの時には比較的、迷わずすぐに伝えるというのが最善であることが多いのですがマイナスなメッセージとなると残念ながらそうはいきません。
基本的には指摘や注意も後からではなくその場で伝えることが一番なのですが、例えば集団で仕事をしているとき、これは注意すべきことなのか、それとも許容の範疇としていいのか、注意するとしてもみんなの前で言ってしまっていいのか、言うとしたらどんな伝え方をするべきなのか、空間を分けて本人を呼んで話すべきなのか、逆に呼びだしてしまうことで他の人の印象に残ってしまわないか、休憩まで待ってそれから伝えても伝わるのか、そんな選択肢が無数にある中でその時その時の最善と思われる方法を、何度も間違えたり失敗しながら試行錯誤していくのが私たちの仕事です。
その人だけでなく、他の皆のことも考えると、共有しておいた方がいい問題はみんなの前であえて伝えたり、何度も繰り返し発生する問題で、みんなの前で言っても改善がなかなか難しい場合、一対一で話して丁寧に説明する必要があったり対応は本当に様々です。
もちろん、こんなことをマニュアル化なんてできませんし、実際マニュアルがあったとしても役に立たないでしょう。私たち自身も本当に正しかったかどうかはわかりませんし、これが正しいはずだと思って経験を積んでいくしか方法がありません。
目に見えない部分のスキルかもしれませんが、障害福祉の支援者が持つ経験のスキルは、きっと日常の中でも役立つんだろうと思います。
相手に伝えたいことがあるときには、なんて言おうか、ということばかりに注目しがちですが実は大事な要素はそれだけではなくて、どんなシチュエーション・環境で言うか、1対1で言うのかみんなの前で言うのか、普段の何気ない時に言うのか特別に時間を設けて言うのか、本当に今言うべきなのか今は本人に気づいてもらう働きかけをすべきなのか、実は影響している要素はまだまだたくさんあって、なんて言うかというのはそのうちの一つの要素でしかないってことなんですよね。
こうやって言ったのに伝わらない、そんな時には言葉とは別の要素を考えて“どう伝えるべきか?”を再度検討してみるのをおすすめします。
意見が食い違うことはありますが、伝えたいことが伝わらなくてすれ違ってしまうのは悲しいですもんね。
なにかの参考になれば幸いです。
Comments