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執筆者の写真特定非営利活動法人 桑の実

創意工夫は環境から生まれる

今日は、仕事における創意工夫についての話題です。

実は今日、ある利用者さんにこれまでにやってもらったことのない(比較的簡単な作業でしたがこれまでは職員しかやっていなかった)仕事をやってもらいました。


実はこの仕事、やり方に特に決まりはなくて、やる職員によってやり方もちょっとずつ違います。正直、マニュアル化するほどの難しい作業ではないので、それぞれが自分なりに工夫した結果、ちょっとずつやり方が違うところで着地したという感じです。


今日は、利用者さんに任せるときにあえて、やり方を提示しませんでした。具体的な質問があった時にある程度の助言はしましたが、基本的にはゴールだけを伝えて、自分でやり方を考えてやってもらいました。

結果的にはいつもの倍ほど時間もかかってしまい、最後は職員も少し手伝い、本人も結構大変だったようですが、これはすごく大切なことだと思っています。



よく、「部下が工夫をしない、自分で考えない」という上司の方の意見を耳にすることがありますが大事なことは“工夫するしかない環境にあるか否か”ではないでしょうか。


工夫するしかない環境というのは2つの側面があって、一つは、“工夫しなければ仕事が進成立しない”ということ。今回利用者さんにやり方を示さず、ゴールのみを提示して自分で考えてもらったのはまさにここの部分です。


もう一つは“失敗してもいいと思えている”ということ。工夫できない、自分で考えて行動することが出来ない人の多くは、やりたいんだけど失敗したらどうしよう、迷惑をかけてしまうのでは?という大きな不安があります。この不安が払しょくできずに、結果として言われたことをこなせば称賛はされないけど否定されることはない、という消去法になりどんどん自発的な創意工夫が減少していきます。


これに対しては、事実として否定されるかどうか、実際に失敗がどれほど迷惑をかけるのかよりも、本人がどう感じているか?という主観の方が重要で、工夫して自分でやってみることのリスクの方が指示通り動くことよりも高いと思っているうちは絶対に創意工夫は増えません。


“いざとなったらどうにかするよ”“責任はこちら側でとるよ”“失敗したことを責めないよ”という安心が担保されてさらに“工夫しないと成立しない仕事”が与えられて初めて、人は自分で何かを工夫してみようと思い、具体的に行動が変わるわけです。


よく、「プロジェクトを任せたよ!」と言いながらことあるごとにあれやこれやと口を出しては否定を繰り返し、結果としてほとんど自分がやったのと変わらないような自分色のプロジェクトのようにしてしまう上司の方もいらっしゃいます。


もちろん、上司の方がやった方が早いしクオリティも高いしうまくいく可能性も高いでしょう。しかし、それをしていてはその方の言う“工夫が出来ない部下”を量産していることになってしまいます。


子供の自転車の練習で後ろから押さえてあげたように、自分で勇気をもって走り出せる環境が出来ているか、そんな環境を作れているかが大事なことなんです。

子供は自転車に乗れないけど、親が車に乗れるから問題ない、そんなことはないですよね?




部下も全く一緒で、上司が出来るからそれで良いのではなく、部下に成長してもらう必要があるんです。

それには、けがをして転んだら手当をしてあげないといけないし、失敗しても“次は出来るよ!もう一回やってみよ!”って励まさないといけません。一生懸命フォローして、何度も挑戦してもらう。

そうして、明日もまた練習しようね!って言ってもらって何度も繰り返し練習してもらわないと子供は自分で工夫して自転車に乗れるようにはなりません。子供が出来ないから代わりに親が一人で公園で自転車に乗っていても、何の意味もないんです。


もちろん、私たちのような福祉施設での利用者と職員の関係は上司と部下ではありません。しかし、指示的な立場と現場での主体者という意味で言うと共通点があります。指示的立場にある上司や施設の職員は現場での主体者ではありません。

どうやって、現場の主導権を渡して自走してもらうかを工夫するのが、上司や職員にとっては“工夫すべきポイント”です。


最近部下が自分で工夫してくれないんだよなぁ。そんなときには是非、会社やご自身が提供している“環境”を見直してみてはいかがでしょうか。

あなた自身の中に、“工夫”すべきポイントがあるかもしれません(と、自分に言い聞かせる笑)。

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