新型コロナウイルスの新規感染者数がまた増加の一途を辿っています。
当法人の施設でも緊急事態宣言下では人数制限や出勤制限をかけ、その上で可能な限りの感染防止対策を講じてきました。
しかし、また感染者が増える一方で具体的にどう対応していけば良いのかが問われるのはむしろこれからです。
恐らく経済的な観点からも政府が再度緊急事態宣言を出すことはないと思われる中、各事業所及び自治体が対応策をそれぞれの責任の下、単独で判断しなければいけないわけです。
私たち自身、一旦規模を大幅に縮小しその後緊急事態宣言の終了とともに徐々に人数を戻してきましたが、一度制限をかけた期間があったからこそより明確に感じられたことがありました。
それは“場所”としての価値です。
施設を利用する障害者の方が取り組む仕事の内容は、正直言うと家で可能なものも結構多いし、在宅ワークが肌に合って積極的に取り組んでくれている方もいらっしゃいます。
しかしそれ以上に、施設を自分の居場所として利用し、場所への価値や施設の職員に会いに来ることを楽しみに感じて通って来てくれている方たちばかりなんだなぁということを日々強く感じます。
出勤制限はほとんど強制的に行ったのですが、その後徐々に解禁していく中でこれまで精神的な体調不良などから定期的にきちんと通えなかった方も含め出勤率が明らかに向上しました。
これは、一度制限をかけたことでより通いたいという思いを強く持ってくれたことが影響しているのではないかと考えています。
もちろん、今後の情勢や近隣での感染状況によっては、また大規模な出勤制限をかけたり場合によっては営業休止などの可能性もありますが、肝に銘じておかなければならないことは、私たちが提供しているものは実は障害福祉サービスだけではないということです。
利用している障害者の方にとって何が価値になっているのか、障害福祉サービスと同時に場所の価値や各職員との触れあう時間、そういったものも提供しているし、そこに価値を感じてくれている利用者さんがたくさんいるということ。
それを私たちが深く認識しておく必要があるんだなと感じました。
テレワーク、出勤制限も感染防止リスクや仕事の効率を考えたらそちらの方が良いこともたくさんあります。ですが、効率やリスクだけでは片付けられないこともあるのだということを実感しています。
もちろん仕事によっては、もうオフィスがいらない!というような業種もあるかと思います。それはそれで素晴らしいです。
しかし、今回の利用者さんたちの反応を見ていると、私たちの福祉施設という仕事は、自分たちが認識している以上に“場所”に根付いた職業なのかもしれません。
可能な限り感染防止対策を講じながら、最大“場所の価値”も提供していけるよう、模索していきます。
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