障害をお持ちの利用者の方と一緒に仕事をしていると、“失敗したくない”という思いの強さからか、単にコミュニケーションをとりたい、構ってもらいたいという欲求なのか何度も“これでいいの?”“見て見てー!”と確認を求めてくる方がいらっしゃいます。
もちろん、しっかり確認しながら仕事を進めることは必要です。しかし、今までに何度もやってきていて、任せたこともある仕事となると話は変わってきます。
失敗したくないとの思いから不安が強くなってしまっての確認なのか、構ってもらいたい、つまり自分一人でその仕事を出来たよ!ということを認めてほしい確認なのか、恐らく両方です。両方の感情が入り組んで混ざっている感覚なのだと思います。
施設内でのことだけを考えるのであれば、それで全く問題ありません。
何度も一緒に確認して、何度も認めて、何度も同じことを教えて、コミュニケーションをとることが出来ます。
しかし、就労継続支援、就労移行支援施設を運営している私たちの最終的な目標は、基本的には就労にあります。
それを考えると、施設の中だけで能力を発揮できる、というような状態からはいずれかのタイミングで脱却をしなければいけないということです。
その時に、何度か任せたことがある仕事であれば、あえて自分で最終判断をしてもらうようにしています。
毎回、不安そうな顔を浮かべるのですが、大丈夫・出来るという感情はやはり経験からしか生まれないと思っているからです。
職員がそばにいていつでも対応出来て支援出来る環境というのは、とても仕事がやりやすい環境です。しかし裏を返せば、本人たちが考えなくても一日の仕事が進んでいってしまう危険性も孕んでいるということ。
その環境に慣れ、結果的に次のステップへ進めなくなってしまう可能性があることを、支援する人間は認識しなければいけません。
支援という言葉は、支えて、応援する、という意味。支えるというのは決して、彼ら・彼女らのやるべきことを代わりにやってあげることではない、むしろ積極的にお願いして、自分たちで出来ると信じること。これが支援者にとって必要なスキルなんだと思います。
もしかしたら親子や上司部下の中でも、同じような場面に出くわすことがあるかもしれません。ついつい私たちは、教えなければ、失敗しないようにしなければ、と思ってしまいますが、本当はただ見守るという支援の形もあるし、失敗という経験をさせる優しさもあるんです。
たくさんのことを教えてもらうより、たくさん任せてもらってたくさん信じてもらえた上司のことを、信頼しませんか?
であれば思い切って、信じて、任せてみませんか?失敗の責任は俺がとる!そんな上司、惚れてしまいます(笑)
指導的立場のあなたにとって、なにかの気づきになれば幸いです。
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